大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和29(あ)1149 決定

主 文

本件上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

理 由

弁護人森川金寿の上告趣意(追加上告趣意を含む)について。

所論違憲の主張の点につき記録を調査すると、原審第一回公判調書(記録二〇八

丁)によれば、弁護人は控訴趣意書記載のとおり弁論し、之に対し検察官は控訴趣

意は理由がないとの意見を述べ、裁判長は結審した旨の記載のあることは所論のと

おりである。そして右控訴趣意書には所論の如き証人申請の記載のあること、従つ

て右控訴趣意書の陳述により、右証人申請がなされたものと認むべきであることも

亦所論のとおりである。しかし乍ら、右証人申請には刑訴三九三条一項但書所定の

疎明がなされた形跡がなく、又右裁判長の即時の弁論終結、即ち証人採否の決定な

くして弁論が終結されたのに対し、弁護人は何等の異議の陳述もなされた形跡のな

い点から考えれば、右証人申請に対しては前示疎明なき故不適法な申請として採否

決定の要なきものとせられたか、乃至は弁護人において右一旦なしたる証人申請を

抛棄したものと認めるかの何れかであつたものと解するを相当とする。そして所論

憲法三七条二項の趣旨は裁判所が必要と認めて採用決定した証人に関する規定であ

つて、裁判所が不必要と認める者まで悉く採用尋問しなければならないという趣旨

のものでないことは既に当裁判所大法廷の判示するところである(昭和二三年(れ)

第二三〇号、同年七月二九日大法廷判決、集二巻九号一〇四五頁参照)。されば所

論違憲の主張は本件の場合その前提を欠くものであるから採用の限りでない。そし

て爾余の所論は事実誤認の主張に外ならないから刑訴四〇五条の上告理由に当らな

い。

次に被告本人の上告趣意(このうちには違憲を云為するところがあるけれども)

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は、結局事実誤認の主張に帰着するものと認むべきであるから、刑訴四〇五条所定

の適法な上告理由に当らない。

また、記録を調べても、本件につき刑訴四一一条を適用すべきものとは認められ

ない。

よつて同四一四条、三八六条一項三号、一八一条により裁判官全員一致の意見で

主文のとおり決定する。

昭和二九年七月一七日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 霜 山 精 一

裁判官 栗 山 茂

裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 谷 村 唯 一 郎

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